仮面高血圧
仮面高血圧とは、診察室で測る血圧が普段の血圧より低くなる病態で、診察室では正常なの
で 、「正常血圧という仮面をつけた高血圧」という意味で、仮面高血圧と呼ばれています。
将来の脳心血管リスクが非常に高い病態として、近年非常に注目されています。
誰でも簡単に計れる電子血圧計が普及したことや、持続血圧モニタリング装置で24時間血圧
の測定が可能になったことで、このような病態の存在が予想以上に多いことがわかってきまし
た。
医師が外来診察室で測定した血圧データは、必ずしも患者さんの平常時の血圧を反映したデ
ータではないため、時には治療すべき患者が見逃されていたり、逆に不必要な治療が行われた
りする可能性があります。
<家庭血圧と外来血圧に差のある疾患>
白衣高血圧・・・日常生活では正常血圧なのに、診察室だと緊張して血圧が高くなること。
積極的に治療しなくても、さほど心配ありません。
仮面高血圧(逆白衣高血圧ともいう)・・・ヘビースモーカー、ハードワーカー、職場と
家事に働く多忙な主婦、ストレスを感じやすい人等の例では、診察の待ち時間にリ
ラクゼーション効果があり、診察時の血圧が低くでてしまいます。日常高血圧の状
態が多いので、未治療だと持続性高血圧と同等に、脳卒中、心筋梗塞のリスクが高
くなるので、薬物療法の対象となります。
<仮面高血圧が疑われる人>
・ヘビースモーカー
タバコを吸うと血圧が上昇しますが、医療機関では喫煙できない場合が多いため、
普段より血圧が下がっている可能性があります。
・仕事に追われている人、ストレスの多い人
診察を待っている間に、仕事やストレスから開放され、リラックスして普段より
血圧が下がることがあります。
・心肥大や腎障害のある人
心肥大や腎障害(たんぱく尿)があると指摘されているものの、診察室で測って
も特に血圧が高くないという場合には、仮面高血圧の可能性があります。
・降圧薬の効果が持続していない人
高血圧の患者さんで既に降圧薬を服用しているにもかかわらず、薬の効果が持続
していないことがあります。朝、服用し、外来受診時には正常血圧となっている
ものの夜間から翌朝にかけて血圧が再上昇してしまうことがあります。
<仮面高血圧の種類>
仮面高血圧にはいろいろなタイプがあります。日中にストレスの多い人がなりやすい
「日中上昇タイプ」は病院での待ち時間がリラクゼーションとなり、診察時の血圧が低
くでてしまいますが、再び多忙な日常に戻ると血圧が上がってしまいます。このタイプ
は血圧上昇の管理、生活習慣の管理が重要となります。
仮面高血圧の中でも良くみられるのが「早朝高血圧」で、これは夜間就寝中、血圧が
下降しないタイプと就寝時は正常で起床してから、急激に血圧が上昇するタイプとがあ
ります。
特にこわいのは「夜間持続型」で1日の約1/3をしめる夜間において、本来下降すべき
血圧が十分下降しないか上昇し、心血管系に負担がかかりつづける結果、心筋梗塞や脳
梗塞、臓器障害のリスクが高くなります。このタイプには長時間持続タイプの降圧薬が
処方されます。
<家庭血圧の測り方>
早朝高血圧は家庭用血圧計で早朝の血圧を測ることでわかります。
手首や指で測るタイプは誤差が出やすいので、なるべく上腕で測るタイプを使用します。
安定した血圧を測るため、2分くらい前からリラックスし、カフと心臓の位置が同じ高さ
になるようタオルなどを置いて調整すると良いでしょう。
家庭血圧を測るポイントは、朝夕の2回、それぞれ2度ずつはかり、2度目の数字を記録し
ていくのがよいとされています。医療機関で血圧記録表やグラフを配布しているものを利
用するのも良い方法です。毎日記録し、受診時に担当医に見せるとよいでしょう。
<参考>
桑島 巌:仮面高血圧(masked hypertension),Nikkei Medical,419,131-134(2002)
桑島 巌:ご注意!仮面高血圧,きょうの健康203,32-51(2005)
豊島 孝道,桑島 巌:仮面高血圧の診断と治療,総合臨床,54,613-614(2005)
(作成2005年3月23日)