●市販のお薬

●薬の剤型と効き方

薬には患部に合わせて、いろいろな種類の剤形があります。
剤形の特徴を知り、薬が効くしくみを知って、正しく使いましょう。


●内服剤

いわゆる飲み薬で、経口剤とも呼ばれます。多くは胃で溶かされ、腸から吸収されて体内に入ります。
体内では血液の流れにのって、体のさまざまな場所で薬としての効果を発揮します。
その後、肝臓や腎臓で処理され、ほとんどが尿として排泄されます。


●外用剤

皮膚や粘膜など、直接患部に塗ったり貼ったりする薬です。
また、肛門から挿入する坐剤や点眼剤、点鼻薬なども外用剤です。

●血液中の濃度で薬の効き方が決まります

飲み薬は血液中の濃度が一定以上にならないと効果を発揮できません。
1回に飲む薬の量や1日に飲む回数が定められているのは、体の必要な場所で効果が現れる血中濃度になるように調整されているためです。
そのため、薬の飲む量を勝手に増やすと、血中濃度が必要以上に高くなり、薬が効きすぎて副作用を引き起こすおそれがあります。
また、逆に飲む量や回数を減らすと、血中濃度が低くなりすぎて、薬の効果が現れません。
効果的なセルフメディケーションのためには、定められた時間、量や回数を守って薬を使用することが大切です。

<定められた量より多く飲むと危険なことがあります>

●剤型ごとの特徴と使い方

内服剤
内服剤は、口から飲んで消化管から体内に吸収されるものです。どこで溶け、どのくらいの時間で吸収されるかなど、効果を考えた設計になっています。そのため、錠剤をかんだり、カプセル剤の中身を出して飲んだりすると、作用が低下したり、副作用が強く出たりする場合もあり、注意が必要です。

●錠剤

固形状で、胃で溶ける一般的な錠剤と、腸まで届いてから溶けるように設計された腸溶錠などがあり、水かぬるま湯で服用します。噛みながら口の中で溶かしていくチュアブル錠など、水なしでも服用できるものもあります。

●散剤・顆粒剤

散剤は粉末状、顆粒剤は粒状の薬。水、ぬるま湯と一緒に飲みますが、むせたりして飲みにくいようであれば、オブラートに包むとよいでしょう。生薬の散剤では、「苦味や香りが胃の働きを高める」など、そのまま飲んだほうが本来の効果を得られるものもあります。

●カプセル剤

顆粒を詰めた通常のカプセル剤と液体を詰めた軟カプセルなどがあります。噛まずに、また中の薬を出したりせずに水かぬるま湯で服用します。

●液剤・シロップ剤

定められた1回量を正確に量って服用してください。使用後は容器の口元についたシロップなどをきれいにふいてからキャップをします。また、1瓶を1回で服用するものもあります。

外用剤
外用剤は、皮膚に貼ったり、塗ったりする薬です。外用剤を塗ったあとに、上からフィルムなどでおおったりすると、吸収がよくなりすぎて副作用が出やすくなったり、効果が変わる可能性がありますので、ご注意ください。

●軟膏・クリーム剤

使用前後は、手をよく洗いましょう。油性のものが軟膏剤です。傷などがあっても刺激が少なく水をはじき、保護効果もあります。水性のものがクリーム剤です。よくのび、べたつかないので広い患部にも使いやすいのが特徴です。患部を清潔にしてから使いましょう。

●液剤・ローション剤

水性・油性があります。塗布範囲が広く、目立ちにくいのが特徴です。頭皮などの有毛部にも使いやすい剤形です。また、エアゾール、ポンプ式にして使いやすくしたスプレータイプのものもあります。患部を清潔にしてから使いましょう。

●点鼻剤

鼻の穴に容器を直接入れ、薬剤を鼻粘膜に噴霧する薬で、鼻炎薬としてよく利用される剤形です。鼻をかんでから使います。使用後は先端をきれいにふいてからキャップをしてください。

●点眼剤(目薬)

雑菌が入らないように、容器がまつげなどに触れないよう点眼してください。1回使い切りタイプのものは、1本が使い切れなくても保存ができませんので残りは捨てましょう。

●坐剤

肛門から挿入する薬で、肛門内で溶け成分を放出します。痔の薬や解熱鎮痛薬などがあります。「入れにくい」「出てくる」という場合は、先端部を体温で温め滑りをよくしてから、指で薬を押し込んでください。

●貼付剤

患部に貼って使う薬。主に痛みと炎症を抑える薬の成分を皮膚から体内に浸透させます。痛みやこりがあるところに、しわが寄らないように貼付します。汗などの水分があるとはがれやすいため、よくふき取ってから貼付してください。

出典:日本OTC医薬品協会