●市販のお薬

●説明書は使用前に必ず読みましょう

OTC医薬品についている説明書は、安全で適正な使用を図るための情報が、わかりやすく、簡潔に記載されています。捨てたりせずに保存しておきましょう。特に、持病(基礎疾患)がある人、他の薬を服用している人、妊婦、授乳婦等は、使用上の注意など、使用前に必ず確認してください。

●OTC医薬品の説明書は次の7つの項目からなります。

1.表題部分
2.使用上の注意
3.成分
4.効能・効果
5.用法・用量
6.保管及び取扱上の注意
7.問い合わせ先・製造販売元等

① 表題部分

改訂年月、薬効群名、商品名、医薬品分類、簡単な商品特長などが記載されています。

② 使用上の注意

してはいけないこと、相談することの大きく2つに分かれます。 安全性上重要であるため、わかりやすいように、統一マークで注意を促しています。

※1:してはいけないこと
守らないと症状が悪化したり副作用や事故が起こりやすくなる禁忌事項です。

※2:相談すること
使用者の自己判断で使用することが不適当な場合や、使用後に現れる可能性がある副作用といった、医師、薬剤師等の専門家に相談することが記載されています。

③ 成分

有効成分の名前、量、働きが記載されています。

④ 効能・効果

⑤ 用法・用量

年齢別の1日使用回数、使用量が記載されています。

⑥ 保管及び取扱上の注意

⑦ 問い合わせ先・メーカー他

紙面が限られるため、記載の理由など、くわしい説明ができていない場合も多くあります。わからないときは、メーカーの問い合わせ先で確認できます。
せっかく注意事項を確認して服用しても、次回使用時に忘れることも多いものです。 説明書は捨てずに、しっかり保管しておきましょう。

●内服剤の正しい飲み方

飲み薬は、体内の目的の場所でもっとも効果が発揮されるよう、また、思わぬ副作用を起こさないよう、飲む時間や形、1回量などが工夫されています。
説明書には、薬に応じて定められた用法・用量が記載されているので、よく読んで、正しい使い方を守りましょう。

●食前・・・食事の30分くらい前

食前は胃が空っぽの状態です。次のような薬は、食前に飲むともっとも効果を発揮します。
・直接胃粘膜に接して効果を出す薬
・食事の前に胃の働きをよくし、食欲を増す薬
・食べ物と一緒でないほうが、吸収や効果がよい薬(食前のほうが胃酸が薄まっていないので、胃の中が酸性の状態になります。そのほうが、効果が上がる薬があります)

●食後・・・食後30分くらいまで

食事で胃がふくらんでいる状態です。次のような薬は、食後に飲むとよいでしょう。
・胃の消化を助け、胃もたれなどを防ぐ薬
・食べ物と一緒のほうが、吸収や効果がよい薬
・胃に障害を起こしやすい薬(食べたものが胃粘膜への刺激をやわらげてくれるため、食後の服用が適しています)

●食間・・・食後2~3時間

食事と食事の間のことで、食事の最中ではありません。食べ物の消化が終了して、胃の中が空っぽの状態なのは食前と同じですが、次の食事まで1時間くらい空いているところが違います。
次のような薬は、食間に飲むともっとも効果を発揮します。
・直接胃粘膜に接して効果を出す薬
・食べ物と一緒でないほうが、吸収や効果がよい薬
(多くの漢方製剤は、空腹時のほうが吸収がよいとされ、「食前・食間」の服用となっています)

●寝る前・・・就寝30分くらい前

次のような薬は、寝る前に飲むともっとも効果を発揮します。
・寝ている間に効果を現す薬
・睡眠を改善する薬
※翌朝お通じがあるように、寝る前に服用する便秘薬などもあります。

●頓服・・・必要に応じて

1回飲むだけで効果が出る薬は頓服(頓用薬)と呼ばれます。毎日続けて飲む「連用」とは意味が異なります。頭痛薬や下痢止め薬など、症状が出たときに飲む薬です。

●薬はコップ1杯の水かぬるま湯で飲む

チュアブル錠、口腔内崩壊錠を除いた飲み薬は、水かぬるま湯で飲みます。
ジュースやアルコールなどで飲むと、効果に影響が出たり、副作用が多くなったりすることがあります。必ず、説明書を確認しましょう。

牛乳 牛乳や乳製品は、胃のpHを上げる働きが強い食品です。薬によっては効き目が低下し、効果の発現に時間がかかることがあります。
ジュース 薬によっては吸収が低下することがあります。病院で処方されるコレステロールや血圧の薬は、グレープフルーツジュースと一緒に飲むと、効果が強く出たり、副作用が多くなったりすることがあります。
コーヒー
お茶
薬の中にカフェインが含まれているものがあり、一緒に飲むと、カフェインのとりすぎで興奮して眠れなくなることがあります。
アルコール 薬の効き目が強く出すぎたり、副作用が現れやすくなります。特に、かぜ薬などに使用される解熱鎮痛薬のアセトアミノフェンは、アルコールと反応して肝臓に負担をかけやすくするので、飲んではいけません。

●薬を飲み忘れてしまったら?

決められた服用時間からそれほどたっていない場合は、気づいたときに飲む。忘れたからといって、 次に2倍量飲まないこと。
・鼻炎薬、頭痛薬などは、服用間隔が記載されているので、確認。
・かぜ薬などは、食後を基本としており、明確な時間記載はないが、1日3回の薬は服用間隔を4時間以上、1日2回は6~8時間空ける。

ポイント1 直射日光が当たる場所、高温・多湿な場所は避ける。涼しい場所に保管しましょう。
ポイント2 子どもの手の届かないところに保管。誤って飲んでしまわないよう、子どもの手の届かない場所に保管しましょう。
ポイント3 外箱や袋、説明書は使い切るまで大切に保管する。使用上の注意などがいつでも確認できるよう、外箱や説明書はすぐに捨てず、薬を使い切るまで保管しておきましょう。
ポイント4 年に1度は薬箱を整理する。薬箱にどんな薬が入っているのか、使用期限を過ぎていないかなど確認しましょう。
ポイント5 他の容器に移しかえない。誤用や品質の変化の原因になるので、薬袋や外箱から他の容器に移すのはやめましょう。
ポイント6 農薬、殺虫・防虫剤と同じ箱に入れない。農薬や殺虫・防虫剤は間違って口に入れてしまうと大変危険です。薬と同じ箱に入れないようにしましょう。

●薬の捨て方

薬を捨てる時は容器から取り出して廃棄します。錠剤や軟膏などは紙や封筒に包んで可燃ごみへ。エアゾール剤や噴霧剤は、容器に書いてあるガス抜き方法により中身を出し切ってから捨ててください。その際、火気のない屋外で行いましょう。薬の容器・包装には識別マークの表示があります。マークをよくみて、地元自治体の分別方法・収集に従い廃棄してください。

●こんなときはこんな薬

よくある健康トラブルに利用するOTC医薬品について、簡潔に説明します。セルフメディケーション・セルフケアにお役立てください。

●かぜ

・発熱、頭痛、せき、鼻水、鼻づまりなど、かぜのさまざまな諸症状をやわらげるのが【かぜ薬】です。
  漢方製剤、生薬製剤の中にも、かぜ症状の改善に用いられるものがあります。
・症状がはっきりしている場合には、その症状を抑える薬を使用するとよいでしょう。
  発熱、頭痛の症状→【解熱鎮痛薬】、鼻水、鼻づまりの症状→【鼻炎薬・点鼻薬】、
  せき、たんの症状→【せき止め薬】
・38度以上の急な高熱、関節痛、筋肉痛など全身症状を伴う場合、インフルエンザが疑われます。
 早めに医師の診察を受けましょう。

●頭痛・生理痛

頭痛、歯痛、生理痛、神経痛など→【解熱鎮痛剤】 解熱鎮痛薬は痛み、発熱に使用するものです。頭痛、生理痛以外にも、打ち身や捻挫による痛み、腰痛、肩こり痛まで、幅広く使用できます。

●胃の調子が悪い

胸やけ、ゲップ→【制酸薬】、胃もたれ、胸のつかえ→【消化薬】、食欲不振→【健胃薬・漢方胃腸薬】、胃の痛み→【胃腸鎮痛・鎮痙剤】、上記の働きをバランスよく組み合わせたのが【総合胃腸薬】です。下痢→【下痢止め薬】、胃の薬には、胃の活動を活発にするものと、抑えるものがあります。症状をよく観察してから薬を選びましょう。

●疲労倦怠

疲労倦怠の改善に→【ドリンク剤、滋養強壮剤、ビタミン剤、漢方薬】などがおすすめです。これらの薬を使用しても症状の改善が見られない場合は、早めに医師の診察を受けましょう。

●便秘

便秘(目安として3日以上排便がないような場合)→まず、食事や運動などの生活習慣を見直し、それでも改善されなかったら【便秘薬】を試してください。発熱または血便、粘液便のあるときは水分を十分にとり、早めに医師の診察を受けましょう。便秘薬の長期服用は下痢を起こしたり、便秘薬が効きにくくなることがあるので気をつけましょう。

●軽いやけど

水道の流水で少なくとも10~20分は冷やしてください。水から出してもヒリヒリするようなら、痛みがなくなるまで冷やします。その後で【薬(やけど用)】を塗ります。 痛みや熱が下がらないときは、医師の診察を受けましょう。

●切り傷・すり傷

すり傷のときは、水道水などでよく洗い流しましょう。【殺菌消毒液】で傷口のまわりを消毒してから、【きず薬】など内臓【化膿止め】の薬を塗り、【ガーゼ】や【ばんそうこう】を当てて傷口を保護します。薬は、傷口から盛り上がるほどつけないようにしましょう。傷の状態が重いときは、医師の診察を受けましょう。

●水虫

患部をよく洗ってから、【水虫治療薬】を使います。薬を使用し、かゆみなどの症状が消えても、約1か月は根気よく治療を続けることが大切です。また、足をいつも清潔にするよう、心がけましょう。水虫治療薬でなく、ステロイド剤など他の皮膚病の薬を使うと、症状が悪化することがあります。医師、薬剤師などに相談しましょう。

●腰痛

急性の腰痛→消炎効果のある【冷しっぷ剤】 慢性の腰痛→血行をよくする【温しっぷ剤】 痛みや炎症を抑える内服薬(解熱鎮痛薬)も利用可能です。痛みが足までくる、安静にしていても激しい痛みを感じるときは神経を刺激している可能性があるため医師の診察を受けましょう。

出典:日本OTC医薬品協会